2016年1月23日土曜日

渡辺眸×飯沢耕太郎 トークショー報告第二弾!

今年は申年ということも少し関係したりして、渡辺さんがインド、ネパール、日本で出会った猿の写真も多数展示しました。
表情豊かな猿に興味しんしん、ふむふむ、なんて思っているとつい忘れてしまうのですが、近距離でこれだけの表情を渡辺さんはとらえたという事実。それくらい猿と渡辺さんは近く在ったということ。

「猿と人間の世界はつながっている」

渡辺さんは、ネパールのスワヤンブ寺院(いわゆるモンキーテンプル)の近くで部屋を借りていたそう。
窓から侵入ではなく、礼儀正しく!?ドアから勝手に猿が部屋に入ってくる事も多発する土地。ピーナッツを持って歩けば、猿に囲まれること必至。猿に取り囲まれても全く恐怖感なんてなかったそうだ。モンキーテンプルでは猿と人間の間にフェンスはない。その土地に渡辺さんが在る瞬間から、もうすでに猿とつながっていたのだ。
渡辺さんは、猿が日本にもいると知ったから帰国したと言っても過言ではない。猿がいなかったら、きっと日本には帰ってこなかった。

「渡辺さんの猿は動物としての猿の写真ではない。アマのひとは猿を擬人化しがちで。例えば温泉につかった猿の写真に人間に在り方を重ねたりするんですよね。動物と人間が同じに見える。渡辺さんの写真の中では、人間も動物もものも風景も境界線が融合する。シャッターをきる前後も映りこんでいるというか。」
と飯沢さん。

「飯沢さん=猿」

飯沢さんの目とこころを惹き付けた一枚の猿の写真がある。
雲海を下に、そびえるヒマラヤ山脈が背景にのぞき、その前に堂々と猿3匹(+1匹の抱えられた赤ちゃん猿)が鎮座している写真だ。モンキーテンプルでおさめられた一枚。その写真に出会ったのはもう数十年前にもなるようだけれど、今も変わらず飯沢さんは、そこに映るある一匹と通じている。



















「不思議な気持ちになったんです。人間ってもともと猿ですし、僕も猿属からわかれた子孫です。だからというわけではなく、渡辺さんの猿の写真を見ていると、猿と自分の間につながりを感じることがあるんです。繋がりが強い猿と弱い猿がいるように感じる。この写真においては、真ん中の猿が自分に近いという確信が強くあったんですよ。落ち着きのなさ、挙動不審のキョロキョロした感じ(笑)。これ、自分だな、っていうくらいの親近感!自分で思ってもみなかった感覚を引出される一枚なんです。」





















飯沢さんがおっしゃったように、写真は忘れていた事、そして無意識に体験したことをからだの奥底から、ひょいっといきなり引っ張りだしてくれることがある。それってものすごく刺激的。写真を観るたのしさのひとつってこれだよな!と膝を打ちました。

写真の中に埋没し、展示された壁をつきぬけて「あちら側」にトリップする楽しみもある。
それと同時に、自分の中に埋没し、こころまでもぐり込み「こちら側」にトリップする楽しみもある。
それとそれと同時に、写真家が「今だ」とシャッターをきった瞬間を永遠に追体験できるのも最高な楽しみだ。
あぁ、写真鑑賞ってこれだからスキ。


第三弾ではお馴染みアツコバルースタッフからのコメントで報告ブログ完!といたします!
つづく!

(麻)




0 件のコメント:

コメントを投稿