2018年3月16日金曜日

BORO展!



こんにちは!スタッフのエミリーです。


「記憶の布〜BOROの世界〜」展、現在アツコバルーにて開催中!



最初スタッフミーティングでBORO展をやると聞いた時、「えっ、ボロってボロボロの布のこと?」と思いましたが、今では「BORO」は世界的なコレクションの対象になっていることを知りませんでした。


オーナーのアツコさんは、BOROを以下のように説明しています。


ーー布が貴重だった時代があった。それほど遠い昔ではない。糸を紡ぎ、機で織り、それでも一反の布を手に入れるのは難しかったので切れ端を大事に繋ぎ合わせて衣服や布団を作った。傷んだ布を、また切れ端で補強して上から縫って、母から娘へと何代にも渡って大切に使って来た布がBOROである。





とのこと。
スペースにひしめきあうBOROの合間を潜り抜けながら、継接ぎの地層に眼差しをくい込ませるのが気持ちいい。縫い目の力強さに頼もしく応える、積み重ねられた布地の頑丈さよ。かっこい〜!

そして感じる、こみ上げる様な懐かしさは、祖母の記憶でした。





私の祖母はもったいない精神の塊のような人で、端切れや反物、着れなくなった服、よれよれのタオルなどを押入れに大量にストックしては、スリッパやステテコ、チョッキ、なべ敷き、座布団、ホコリカバー、変な帽子等、様々なものをチクチクと作っていました。
それらもやがてボロボロになると、糸切りバサミで縫い目をプツン、いともスムーズに解体され、また素材と化した端切れは新しいブツへと生まれ変わっていきます。

私が着ている服は、今でも祖母のお手製が結構あります。
セーターやスカートは、祖母から母へ、叔母へ、そして私へと受け継がれており、着ていると、祖母の存在感や、記憶にはほぼ残っていないけど感覚としてかすかに残っている、あの日あの時の思い出を、まるでしっかりと覚えているような錯覚に陥ることがあり、その度に安心します。


アツコバルーのある渋谷の街は、至る所で、どんどん潰されどんどん建てられ、そのめまぐるしい変容に、発展とは程遠いえげつなさを、私は時折感じます。



切れ端を大事に繋ぎ合わせていく様な、傷みの記憶や補強の痕跡が受け継がれていく様な…アツコバルーの窓から渋谷の街を見下ろして、そんな力強い場所に生きてみたいなと思いました。


「記憶の布〜BOROの世界〜」展、4月1日まで開催しております。
展示室内、すべて撮影可能。コラボレーションとして、同時に展示されている段ボール彫刻家・本濃研太さんによるアニマルズと写真が撮れたり、匂いのアーティスト・MAKI UEDAさんによる体験型の作品もあったり、とても楽しいです。是非お越しください!!

エミリー

2017年9月25日月曜日

飛びたいんです

こんにちは!スタッフのエミリーです。


「仙人になりたいんです」

これは昨年アツコバルーにて開催された、TAGAMIさんの個展タイトル。
そして今回は


「飛びたいんです」


仙人になりたかったTAGAMIさんは、
一年の時を経て、「飛びたいんです」の境地へ。





本展では、今年描かれた作品が多く展示されています。
一日平均3点のペースで新作を描き続けるTAGAMIさん。

アツコさんが「アツコバルー」をオープンされたきっかけのアーティスト。

毎年こうしてTAGAMIさんの最新作を、
産みたてほかほかの状態でコンスタントに見れるのは、
とても刺激的な機会です。


2017年に描かれた作品の中から数点。
私には重なり合う手のひら、指のように見えました。










デューラーの有名な作品「祈る手」を思い出しました。





TAGAMIさんの新作群、個人的には全体的に「祈り」の空気を感じます。

そういえば今回のメインヴィジュアルとなった絵の少女も、
小さな手で祈りを捧げています。





「描きたいと思って描いてるわけじゃない」
初めてTAGAMIさんにお会いした時、そうおっしゃっていたのがとても印象に残っています。

類を見ないスピードで作品を創り続けるTAGAMIさん。
今年に入って既に2000点も描かれているそう。
その積み重なりは、どんどんと空に近づいている。
「飛びたいんです」
タイトルとなったこのフレーズに、つくづく思いを馳せてしまいます。


今回のTAGAMI展、沢山の方に見て頂きたいと切実に思います。
とはいえ会期は残り10日を切っていますよ奥さん!10月1日(日)まで。
私は大声で叫びます、「どんみしっっっ!!!!!」

あとあと!アツコバルーのカウンターに新しいスペースがオープンしましたよ!


ゴゴゴゴ…

AB Counter Gallery
平松麻さんの小作品展を同時開催中です!
おひとりおひとり、大変哲学的な表情をしていらっしゃいます。
是非会場に会いに来てください。
TAGAMI展と同じく、会期は10/1までです。


2017年8月31日木曜日

極限芸術 死刑囚は描く 展 スタッフ感想 エミリー

























作品がアツコバルーへ搬入された時、私は怖さに堪えていた。塀の中に隔離された人々が描いたが故の不透明さと、関連事件の凶悪さから目を背けたい思い、また作品から醸し出される、それらを覆いつくす程の熱量。
しかし設営が終わり展示空間を見渡してみれば、それが「死刑囚」による作品だと一瞬忘れてしまうほど、個人的な印象では「素直さ」に満ちたスペースになっていたように思う。
画一化されたシステムの下に置かれた死刑囚の生活は、刑が執行される「きたる時」の描写こそ、例えばドラマや映画を通じて観てきたものの、そこでは事件の凶悪さと、裏腹に描かれるのは人間味。同じ人間の持つ表裏一体な危うさが「死刑囚」の背負う運命のドラマチックさを際立たせていた。
だが、今回アツコバルーで開催されている極限芸術展。想像だけでは今まで追いつくことの出来なかった、塀の中で生きる彼らのリアルな1日1日に、作品を通じて直面する。会期が終了間近となった今は、逆に作品そのものが彼らの時間を肯定しているのでは、とすら思う。

エミリー

極限芸術 死刑囚は描く展 スタッフ感想 キヨミ
























残暑お見舞い申し上げます。
スタッフ キヨミです!

今開催中の「極限芸術~死刑囚は描く」

先週の都築さん櫛野さんのトークショーでかなり深いはなしが聞けました。

私はこの展示を通してはじめて知ったことばかりで、いい意味でパンチをくらっています。

まず死刑囚の実態をしらせる活動している方達がいて「死刑制度の廃止」「死刑囚の人権」など「死刑囚の表現展」は2005〜今年で12年目だそうです。
今回の展示のほとんどの方が絵の素養が全くなかった人達、限られた素材を駆使して描いている。一度みたら忘れないほどインパクトの強い絵ばかり、画風はみなバラバラで一人ひとりのスタイルが確立していて迷いがない。
トーク中に事件性を知ってみた方がいいか?知らない方がいいか?など話がでましたが、描かれているものは心象世界とのギャップがある。身近なものから、夢のようなもの、無関係なものほんと多種多様。
極限の状況で生まれた絵がもつ力、描くことで得られる外との繋がり、そこで事件をとらえ直す機会になると考え。絵を描くことで罪を償う。みてもらう事で反応が高いまり。過酷な状況が表現をよくする?いつ執行されるかわからない中、表現するからこそ生きていられる。

死刑というシステムは当然のようにあって、ネットでぐぐってみたら、先進国の中で数少ない死刑存続国であり、国民の8割以上が死刑を支持している国が日本。そのことを深く考えたここともないのに私はショックをうけたのでした。
その人物がその後、どういう経緯をたどり死刑執行されるまでにいたるのか 、、、

死刑に賛成か反対かということではなく1人でも多くの方にみてもらい感じること、考える事がとても重要だと

会期も1週間をきりました。展示の感想などぜひ聞かせてください。関連の書籍なども販売していますので、ぜひお待ちしております。

実際起こった事件で映画になっているものもあるそうです。
◦ヒーローショー
◦冷たい熱帯魚
◦全員死刑

キヨミ


2017年4月18日火曜日

麻のキュレーターインタビュー!「バロン吉元 / 寺田克也 バッテラ [bateira]」

現在アツコバルーでは展覧会
「バロン吉元 / 寺田克也 バッテラ [bateira]」
を開催しています。
満開の桜にも負けぬド迫力。 
強靭さと優美さが共存する両氏の壮大な世界をお見逃しなく!
展覧会は今月23日(日)までですよ!





バッテラ展は、アツコバルーでもおなじみ、我らがエ☆ ミリー吉元によるキュレーションで実現しました。
ぴちぴちきらんきらん24歳、エ☆ミリーファンのみなさま、バッテラ展へ急いでください。

日本が誇る漫画家お二方の手元からのびゆく線のゆくえ、 追従してゆくうちに絵と合体した気分に浸ります。
バロン吉元氏、寺田克也氏の描く世界に入り込むと、 なんだか自分も特殊能力を得たかのような登場人物のきもちになっ てくる。カッコイイ気分。カッコイイ展覧会!
エ☆ミリー氏のインタビューを、麻によるアツコバルー卒業仕事としてレポートいたします。 



それではいってみましょー!


☆突然ですが、バロンさん、寺田さんを、「色」「動物」「 食べ物」に例えたら何でしょう?

「いきなり難し過ぎますね!!!か、完全に直感ですが…」
バロンさん: 銀色~深緑色、タツノオトシゴ、どら焼き
寺田さん: 深緑色~銀色、ジュゴン、ほうじ茶ラテ



☆ バロン吉元さんと寺田克也さんのお二人の世界を同時に展覧したエ ☆ミリーさんの意図とは?

「中学校に通っていた頃、放課後は図書室に籠るのが趣味でした。これはスゴイ!という画集を見つけては借りて持ち帰り、父( バロン吉元)に見せることが日課のようになっていました。 父からアーティストとしての直球の感想が口からでてくるのにワクワクしていて、好みの指標を測ることも楽しみの1つになっていましたね 。父が気に入ったアーティストは素直に好きになったし、反対に自分は好きだった作家が父の好みで無いと分かった途端私の愛情も薄れていったり…。父のセンスととにかく共鳴したかった時期でした。
そんなある日、 寺田克也さんの画集を見つけた時は度肝を抜かれました。漫画家でありつつ大きなキャンバスに挑む父を私は誇りに思っていましたが、寺田さんの、一枚の絵にこめられた圧倒的な「強さ」…に、体内のマグマがフツフツとしました 。いつもなら持ち帰り父に見せるところでしたが、 寺田さんの画集だけは「これは見せちゃいけない」と直感で思ったのを、今でも覚えています。自分の感性の中だけに仕舞い込もうとしたのか…。」


「時は経ち、一昨年、中野ブロードウェイのヒダリジンガロにて行われていた寺田さんの個展に父と出向きました。ちょうど公開制作をなさっていた時です。その帰り道、父がふと「寺田さんの作品の横では、俺の作品はどう見えるかな?」と呟いた一言が衝撃的で。脇目も振らず常にゴーイングマイウェイな父が、チラッチラッと脇を見てる!!!とても驚きました。企画の発端です。」





☆両氏の共通点は?

「お二方は漫画家として活躍していますが、それぞれの一枚絵の作品は、マンガか、アートか、 イラストレーションなのか、そういったジャンルの中で描かれるのではなく、勿論他者による定義はありつつも、 作家本人は境界の垣根を超えたところで表現をし続けているように思います。そのようなスタイルは、様々な表現の未来にとって、新たなヴィジョンの提示というか、端緒になるのではないかと思います。 バッテラ展の会場内に、会期を通じて加筆されてゆく公開制作のスペースを設けたのも、ご来場の方々にその「過程」を見てもらいたかったからです。」

▼公開制作の様子








☆会場では「ハハハハ〜ン♪」といったイブシギンな歌声がループしてかかっていますが、あの歌は一体?



バッテラ展限定ソングです!

バロン吉元の画集「バロン吉元 画俠伝」が3月18日にリイド社のトーチレーベルから発売されたのですが、なんと付録で、編集を手がけられた山田参助先生の在籍するデュオ「泊」とバンド「KEBAB JOHNSON」さんによる「画俠伝のテーマソング」が付いてきます。
これが本当に、付録という概念を超超超越した良い曲、SICKなアンセムなのですが、それのデモ段階の音源も素晴らしく、また歌詞が付く前のフリーで予測不可能な感じがバッテラ展にぴったりだと思ったので、会場BGMとして使わせて頂いております。





☆グッズも充実のバッテラ展ですが、エ☆ ミリーさんのおすすめ教えてください。

「なんといってもTシャツです。 展覧会限定Tシャツ、アパレルブランドの【ハードコアチョコレート】とのコラボです。 大人気のため在庫が本当に僅かとなっています。お早め に! 純粋に私が、寺田さんと父の絵が共存したTシャツを着てみたかったから、企画を立ち上げました。両氏の絵を一緒に身に纏えるしあわせ… こそばゆいしあわせ。由紀さおりの名曲「生きがい」じゃないですけど、アア〜♪私はあなたと生きているの〜いつの日も〜 生きてるの〜♪状態ですよ。」



☆エ☆ミリーさんの展望とは?

「無事に会期がおわりますように…!たくさんの方にバッテラ展の魅力をご体感頂けますように!」



【追加イベント、急遽決定!】
バロン吉元初画集『バロン吉元 画俠伝』の刊行を記念したトークイベントが開催されます。予約不要!
<出演>バロン吉元/山田参助/エ☆ミリー吉元
<日時>4/21(金)19時開始
<場所>アツコバルー arts drinks talk

トークの他、山田参助先生+KEBAB JOHNSONによる「画俠伝のテーマソング」生演奏もあり。
アツコバルーで開催中の展覧会「バロン吉元/寺田克也 バッテラ[bateira]」への入場料500円(1ドリンク付)で、イベントにもご参加頂けます。まさに「アツコバルー "arts drinks talk"」のスペース名を体現するかの催し…!ひと粒で無限美味しい♨︎リイド社さん有難う!
是非お越し下さい〜!



2016年5月11日水曜日

☆ギャラリーアシスタント募集☆

アツコバルーでギャラリーアシスタントを募集しています!
一緒に楽しく働きましょう。

業務委託契約 (正規社員契約に繋がる可能性あり)
月100時間程度の就業。(フレキシブルに対応できる方。)

仕事場:渋谷区松濤 アツコバルーarts drinks talk
報酬:お試し期間3ヶ月は手取り10万円。その後は13万円。
交通費支給。

仕事内容:週1〜2日 店頭にて接客 (受付、バー、物販)。
ギャラリーに必要な業務全般(広報、作品整理、アーカイブ製作、設営、撤収、イベントなど)。

求める人物像:
アートと人が好きな人。作品の扱いになれている人。責任感のある人。
年齢、国籍、性別は問わず。

スキル:日本語、Word、Excel、Illustrator、Photoshop。
運転免許、プラスワンの語学もできるとうれしいです。

採用の流れ:
写真付き履歴書を郵送で以下の住所まで送って下さい。
後日こちらから面接の日程調整のお知らせをいたします。

お問い合わせ:
アツコバルーarts drinks talk
〒150-0046
東京都 渋谷区 松濤 1-29-1 クロスロードビル 5F
mail:ab@l-amusee.com
tel:03-6427-8048
担当:ブーヴィエ•マリーなぎさ

2016年3月29日火曜日

アラン・ビュブレックス『うごかざるものうつろふなり』展

ただいまアツコバルーでは、アラン・ビュブレックス 写真とハイブリッド家具の展覧会『うごかざるものうつろふなり』展開催中です。
Alain Bublex














アートインレジデンスでパリから来日したアランさんは、飛騨と東京にて1ヶ月の滞在制作を行いました。飛騨の組み木の技術、そしてFabcafeの最先端技術(3Dプリンター/レーザー加工など)から着想した作品を展示しています。

ところで、「うごかざるものうつろふなり」というこの展覧会のタイトル、一瞬「ん?」と思いませんか?(わたしは思ってしまいました!)
「うごかないもの、うごくよね」みたいなこと。
展示を観に来ていただければお分かりになりますが、まさにそれをアランさんは展示しています。

大きな家具は一度設置してしまえば、動かさない。
だけどアランさんの創る家具は、組み木だから解体して組み直せば新しい形に姿を変える!
もしくは、上下逆さまにしてみたらヨーロッパの高めの家具になったり日本の低めの家具になったりするのです。
















突然ですが、富士山も日本からは動きません。
だけどアランさんの創る写真のなかに在る富士山はヨーロッパの風景の中へと動いているのです。
アツコバルーで「富士山の見える風景」をモチーフとする写真作品に対面すれば、その全貌が明らかに。

うごかざるものうつろふなり。





ちょっと違う見方を提示するアランさんのアートの在りようをぜひ観にいらしてください。

4月3日(日) 18時まで!
お見逃しなく!

(麻)