2016年2月2日火曜日

ソ・ヒョンソク新作演劇『客』アーティスト・トーク

新年あけまして、
気づけばもう2月です。
みなさまごきげんよう、
アツコバルースタッフのエミリーです。

1月28日(木)に、アツコバルーにて

Interdisciplinary Art Festival Tokyo主催
ソ・ヒョンソク新作演劇『客』関連企画
アーティスト・トーク

が、開催されました。




















こちらは、主催の欄にもある通り、
現在開催中である
Interdisciplinary Art Festival Tokyo
(…演劇、映像、音楽、
人形劇等それぞれのジャンルを主軸としながら、横断的な表現活動を行うアーティストが、2015年9月~2016年3月まで東京都内のアートギャラリー、スペース、映画館、ホール等様々な場所で、多発的に競演をするフェスティバル)

その一環として行われた、
ソ・ヒョンソクさんによる新作演劇
『客』’손님’
の上演にちなみ、アツコバルーにてトークイベントが開かれました。
およそ2時間に渡り、ソさんのこれまでの創作活動や、日々の日常で体験する様々なイベントが作品に反映されていくプロセスなど、本フェスティバルの代表/総合ディレクターを務める韓成南 Sung Nam HAN さんの進行にて、とても密度の濃い、貴重なトークをお聞きすることが出来ました。
















実は、アツコバルー店長のナギサさん、スタッフのキヨミさん、そしてわたくしエミリー、以上3人はトークイベントの前に、実際にソさんの「客」を体験してまいりました。
こちら、劇といいましてもホールで他のお客さんと場を共有しながら観るものではなく、客1人に対して役者が1人つき、舞台となる場所の土地柄や背景に則したストーリーが展開していく、サイトスペシフィックな作品であったのですが。。。

以下、各感想です。

ナギサさん
>新しい体験で正直どうすればいいのか分からないドキドキ感でした。暗いのや怖いのが苦手な私にとっては、かなりホラーテイストできつかったです。いつ始まっていつ終わるのか。まるで催眠術にかけられたような演劇セラピーのような時間でした。大人になるに連れて捨てていく、あるいは捨ててきた自分の中の子供と向き合う事がテーマだったのかな。私は、個人的に子供心を捨てているつもりはないので、悲しくなったり後悔の感情は生まれませんでしたが、この「客」という作品は人によって反応や感想が大きく違ってくるとても面白い新型劇だと思いました。観た後、他の人がどうだったのか、聞きたくなる、共有したくなる。不思議な体験でした。
キヨミさん
各回一名様限定の観劇と聞いて、ワクワクしながら玄関を入ると、あまりにも静かでまったく予期せぬ展開に、正直、笑いが込み上げてきてしまって、、、冷静に感じられる頃に終わりになってしまいました。もう少し体感してみたかったです。


なるほど。
私は、

>ソさんの作品の中で体験した20分ほどの上演時間は、自分のこれからの人生において、意識の範疇を超えた大きな意味を持つ瞬間の連続であったと確信を持って思える、そんな印象です。
今まで心の深いところで眠っていた、子供の頃の記憶。
良いことも、嫌なことも、「客」というひとつの体験を通じて、それはまるでシルクハットから大量のハトが飛び出すマジックの様に、思い出が溢れて止まらない、初めて体験した抑え難い衝動でした。
オカルトみたいな話ですけど、上演中、私は確かに、小さい頃の自分に導かれながら時を過ごしておりました。
とは言いつつ、まだ頭の整理がついていないですが…

以上、「客」を体験してみての、アツバル組の感想でした♨︎

ソさんは現在ソウルのマンションにお住まいらしく、昨夏より、今回の舞台となった家を思い出しながら作品の構想を練り始めたようですが、経過していくにつれ、ソさんは自身の子供時代に思いを馳せながら、そして同時に、“家”に関連する日本の小説を読み始めながら、劇を書き進めていかれたようです。
そうして出来上がった「客」。。。

トーク・イベントでは、観客と役者が1対1で展開していく、ソさん独特の劇が作られる元となった子供時代の体験もお聞きすることが出来ました。


「小さいとき、俳優のひとり芝居を見ました。
しかしその時、客は自分ひとりでした。
それはとても怖い体験として記憶され、
また、演劇とは共同体験か、
それとも私的な体験であるかを考えるキッカケとなりました。」


とのこと。。
ひとり芝居にひとり客…
語学教室でさえマンツーマンはかなりの圧迫感なのに、劇場で行われるそれを体験した、ソ少年のトラウマたるや如何に…!?
実際に、私も「客」上演中に涌き起こった感情として、“恐怖感”は多くのウェイトを占めておりました。
ソ少年の恐怖は、幾年月もの時を超えて、私たちの意識に散りばめられた訳なのですね…☆(感動)


――俳優各自の各演劇、
  観客の反応は俳優が知っている。

ソさんがトークイベントでおっしゃっていた、一見当たり前のように感じるこの言葉は、実際にソさんの作品を体験した方ならば、それがどれだけ重要な感覚であるのか、お分かりになるのでは…ないでしょうか…。

ソさんのこと、知れば知る程、どんどん知りたくなっていきます。
(少女漫画みたいな言い回しで恐縮っ!//)


次回作も本当に楽しみです!
ソさんの「客」は終了しましたが、Interdisciplinary Art Festival Tokyoは2月もまだまだ目白押しですよ!

是非!

では~~~!
厳しい寒さのこのごろ、あったかいものでも食べて、ご自愛くださいね♨︎



エミリー(^-^)/